リヴァプール・メトロポリタン大聖堂 Liverpool Metropolitan Cathedral
イングランド・リヴァプールに建つカトリックの大聖堂。国際コンペで選ばれたフレデリック・ギバードが設計し、1962年から1967年にかけて建設された円形平面の現代建築で、ラッチェンスの壮大な旧計画を受け継ぐ。
§1 — 概要概要
リヴァプール・メトロポリタン大聖堂(Liverpool Metropolitan Cathedral)は、正式名称をキリスト王首都大聖堂(Metropolitan Cathedral of Christ the King)といい、イングランド・リヴァプールに建つローマ・カトリックの大聖堂である。リヴァプール大司教座が置かれる。円錐形の塔屋から「パディーズ・ウィグワム」「マージー・ファンネル」などの愛称で呼ばれる、20世紀の宗教建築を代表する作例の一つである。
歴史
リヴァプールでは19世紀のアイルランド系移民の流入によりカトリック人口が急増し、大聖堂の建設が長く課題となっていた。1930年代、エドウィン・ラッチェンスが世界第2位の規模、世界最大級のドームをもつ壮大な聖堂を構想したが、第二次世界大戦と資金難により地下聖堂(クリプト)のみが完成するにとどまった。戦後の1960年、規模を縮小した新たな設計を求める国際コンペが開かれ、フレデリック・ギバードの案が選ばれる。建設は1962年に始まり、1967年に献堂された。ラッチェンスのクリプトは、現在の聖堂の一部として残されている。
建築的特徴
ギバードの聖堂は、縦長の身廊をもつ伝統的な教会堂とは異なり、円形平面の中央に祭壇を据えた集中式の構成をとる。会衆が中央の祭壇を円環状に囲む配置は、信徒と祭儀との一体性を重んじた当時の典礼改革の理念を反映している。中央にそびえる円錐形の塔屋は、ジョン・パイパーとパトリック・ロイティエンスによる青を基調としたステンドグラスを通して、堂内に色光を落とす。放射状に配された鉄筋コンクリートの構造体が、テント状の輪郭を支えている。
意義・現在
リヴァプール・メトロポリタン大聖堂は、第一級指定建造物(Grade I listed building)に登録され、戦後イギリスの近代教会建築の到達点として高く評価されている。同じ通りの先には、ジャイルズ・ギルバート・スコット設計のネオゴシックの英国国教会大聖堂が建ち、新旧かつ宗派の異なる二つの大聖堂が、一本の「ホープ・ストリート(希望の通り)」で結ばれる都市景観を形づくっている。