ソフィア王妃芸術センター Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía
マドリードにあるスペイン国立の近現代美術館。18世紀の総合病院を新古典主義建築として転用し、2005年にジャン・ヌーヴェル設計の新館を増築した。ピカソの《ゲルニカ》を所蔵することで知られる。
§1 — 概要概要
ソフィア王妃芸術センターは、スペインのマドリードにある国立の近現代美術館である。18世紀に建てられた旧総合病院を転用した本館と、現代的な新館からなり、ピカソの《ゲルニカ》を中心とする20世紀スペイン美術の重要なコレクションを所蔵している。
歴史
建物は元々18世紀にブルボン朝の下で計画された大規模な総合病院で、ホセ・デ・エルモシーリャの設計からフランチェスコ・サバティーニが引き継ぎ、1756年ごろに着工したが、計画どおりには完成せず18世紀末に工事が途絶えた。その後1965年まで病院として機能し、1980年代の改修を経て1992年に国立美術館として正式に開館した。さらに2001年にはジャン・ヌーヴェルが新館の設計を担当し、2005年に開館して展示空間を大幅に拡張した。
建築的特徴
サバティーニ館は左右対称の長大なファサードと中庭を備えた新古典主義建築で、装飾を抑えた端正な石造の外観に規則正しく並ぶ窓が、18世紀スペインの官製建築の典型を示している。外側に増設されたガラス張りのエレベーター塔は、歴史的建物に現代的な動線を与える象徴的な改修として知られる。一方、ヌーヴェルの新館は既存建物に囲まれた中庭を赤い金属パネルの大屋根で覆い、講堂や図書室、展示室、店舗を収めている。鮮烈な赤と軽快な構造が、抑制された旧病院の量塊と対比をなしながら、両者で一つの複合施設を構成している。
意義・現在
本館はスペイン近現代美術の中心的な収蔵機関で、ピカソの《ゲルニカ》をはじめダリやミロら20世紀スペインの巨匠の作品を体系的に展示している。歴史的な病院建築の保存と現代的増築の両立という点で、既存ストックの転用・拡張の範例となっている。また、2021年にユネスコ世界遺産に登録された「プラド通りとブエン・レティーロ、芸術と科学の景観」の構成要素にも含まれている。