カリニャーノ宮殿 Palazzo Carignano
トリノに建つピエモンテ・バロックの傑作。グアリーノ・グアリーニの設計により1679〜85年に建てられ、波打つ煉瓦のファサードと楕円形の前室で知られる。後にイタリア統一期の最初の議会が置かれた、サヴォイア家ゆかりの宮殿である。
§1 — 概要概要
カリニャーノ宮殿(Palazzo Carignano)は、北イタリア・トリノの歴史的中心部に建つ大宮殿である。サヴォイア家の分家カリニャーノ公家の邸宅として、ピエモンテ・バロックを代表する建築家グアリーノ・グアリーニの設計により建てられた。波打つ赤煉瓦のファサードで知られ、サヴォイア家の威信を示す建物として、また近代イタリア成立の舞台として、二重の意味で重要な位置を占める。
歴史
建設は1679年、カリニャーノ公エマヌエーレ・フィリベルトの命によって始まり、1685年に竣工した。本家の継承が不安定だった時期に、分家としての格を誇示する意図があったとされる。19世紀に入ると宮殿は国有となり、1848年にはサルデーニャ王国の代議院(サバルピーノ議会)の議場が置かれた。1861年にイタリア王国が成立すると最初のイタリア議会の議場となったが、手狭になったため、1864〜71年にピアッツァ・カルロ・アルベルト側へ新翼が増築された。この宮殿は、カルロ・アルベルトと、初代イタリア国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の生地でもある。
建築的特徴
グアリーニによる17世紀の本体は、煉瓦(テラコッタ)を主材とする点でまず異彩を放つ。中央が前方へ膨らむ曲面状のファサードは、凹と凸を交互に組み合わせ、光と影の動きを生む。ベルニーニのルーヴル宮案にも着想を得たとされるこの造形は、石造が主流の宮殿建築のなかで際立つ。内部では、楕円平面の前室から二手に分かれて主階(ピアノ・ノービレ)へ上がる曲線の大階段が、劇的な空間体験をつくり出す。19世紀の増築部は、対照的に折衷的な擬ルネサンス様式でまとめられている。
意義・現在
カリニャーノ宮殿は、1997年に「サヴォイア王家の王宮群」の構成資産としてユネスコ世界遺産に登録された。現在、主階にはイタリア統一運動を扱うイタリア国立リソルジメント博物館が置かれ、1848年の議場が当時のまま保存されている。グアリーニの建築的達成と、近代国家イタリアの記憶とが一つの建物に重なる、トリノを代表する記念碑である。