パリに立つ新古典主義の代表作。スフロの設計で、もとはサント・ジュヌヴィエーヴ聖堂として1790年ごろ完成した。コリント式の柱廊とギリシア十字平面の高いドームをもち、現在はフランスの偉人を葬る霊廟である。
§1 — 概要概要
パンテオン(Panthéon、パリ)は、フランス・パリのカルチエ・ラタンに立つ新古典主義建築の代表作である。ジャック=ジェルマン・スフロの設計で、もとはサント・ジュヌヴィエーヴ聖堂として建てられた。古代ローマのパンテオンとは別の建物で、現在はフランスの偉人を葬る霊廟(パンテオン)として用いられている。
歴史
病から回復した国王ルイ15世が、パリの守護聖女ジュヌヴィエーヴに捧げる聖堂の建設を誓ったことに始まる。1758年ごろ着工されたが、スフロは完成を見ずに1780年に没し、工事は弟子らに引き継がれて1790年ごろ竣工した。翌1791年、フランス革命のさなかに、教会は国家の偉人を顕彰する世俗の霊廟へと転用される。以後その用途は時代の政治とともに揺れ動いたが、今日ではヴォルテール、ルソー、ユゴー、キュリー夫妻らが眠る、フランスの記憶の殿堂となっている。
建築的特徴
平面はギリシア十字で、その中央に高いドームが架かる。正面には、古代ローマのパンテオンを思わせるコリント式の壮大なポルティコが張り出す。内部は、独立した列柱が天井を支え、ゴシック大聖堂のように軽やかで明るい空間を生む——スフロは、古典の荘厳とゴシックの構造的軽快さの総合を目指したのである。当初は壁に多くの窓が開けられていたが、霊廟への転用にあたって荘重さを増すため、その多くが塞がれた。
意義・現在
パリのパンテオンは、考古学に裏打ちされた厳格な古典主義と、合理的な構造への関心とを兼ね備えた、新古典主義の記念碑である。フランスの国家的記憶を体現する場として、また、地球の自転を実証した「フーコーの振り子」の実験が行われた場所としても知られる。歴史主義の時代の幕開けを告げる、象徴的な建築といえる。