サン=ジェルヴェ=サン=プロテ教会 Saint-Gervais-Saint-Protais
パリ・マレ地区のカトリック教会。後期ゴシックの身廊に、サロモン・ド・ブロスが1616〜1621年に築いたパリ最初の古典主義ファサードを戴き、二つの様式が一つの建物に共存する稀有な作例である。
§1 — 概要概要
サン=ジェルヴェ=サン=プロテ教会(Église Saint-Gervais-Saint-Protais)は、パリ4区マレ地区、市庁舎の東に立つカトリックの教会である。現在の聖堂は後期ゴシック(フランボワイヤン・ゴシック)の身廊に、パリで最初の古典主義ファサードを戴く点で知られ、二つの様式が一つの建物に共存する稀有な作例である。
歴史
この場所には4〜6世紀に遡る礼拝の場があり、セーヌ右岸で最も古い教区のひとつであった。現在の聖堂は1494年に着工され、宗教戦争による中断を挟みながら、およそ160年をかけて1657年に完成した。聖母礼拝堂は1517年、内陣は1540年、翼廊は1578年に整えられ、身廊は1600年から1620年にかけて造られた。最後に加えられた西正面は、建築家サロモン・ド・ブロスの設計により1616年から1621年に建設され、その礎石は若き国王ルイ13世が据えた。1918年の聖金曜日には、ドイツ軍の長距離砲弾が聖堂を直撃し、92名が犠牲となる惨事も起きている。
建築的特徴
身廊や内陣の交差リブ・ヴォールト、稜の鋭い柱は、後期ゴシックの語法を伝える。これに対し、ド・ブロスによる西正面は、古代のオーダーを三層に積み重ねた点で画期的であった。一層にドーリア式、二層にイオニア式、三層にコリント式を配し、頂部を曲線のペディメントで結ぶ。古典の柱式を体系的に重ねるこの構成は、フランスの教会正面として最初の試みであり、聖堂内部のゴシックの垂直性と、外観の古典的な水平・比例の秩序とが鮮やかに対比される。
意義・現在
サン=ジェルヴェ=サン=プロテ教会の西正面は、フランス・バロック様式の最初の作例としてパリの教会建築に決定的な範を示し、近隣のサン=ポール=サン=ルイ教会をはじめ各地の正面に影響を与えた。歴代のオルガニストにはルイ・クープランとフランソワ・クープランがあり、彼らの用いたオルガンは今も残る。1862年に歴史的記念物(モニュマン・イストリック)に指定され、1975年以降はエルサレム修道兄弟会が祈りの場としている。