ソールズベリー大聖堂 Salisbury Cathedral
イングランド南部ウィルトシャーに建つ大聖堂。1220年から1258年にかけてほぼ一様式のうちに建てられ、初期イングリッシュ・ゴシックの最も純粋な作例とされる。後補の尖塔は約123メートルとイングランド随一の高さを誇る。
§1 — 概要概要
ソールズベリー大聖堂(Salisbury Cathedral、正式には聖母マリア大聖堂教会)は、イングランド南部ウィルトシャー州ソールズベリーに建つ大聖堂である。1220年から1258年にかけて、ゴシックの大聖堂としては異例の短い約38年でほぼ一様式のうちに建てられ、初期イングリッシュ・ゴシック様式の最も純粋な作例として知られる。後に加えられた尖塔は高さ約123メートルに達し、イングランドで最も高い。
歴史
前身は、近くの丘オールド・サラムに置かれた大聖堂であった。狭い丘上の立地と王の城との確執に悩んだ司教リチャード・プアは川沿いの平地への移転を決断し、1220年、現在地に礎石が据えられた。設計と造営の監督は、聖職者にして造営の名手であったイライアス・オブ・ダーラムが担ったと伝えられる。本体は1258年までに完成し、回廊や参事会堂もほどなく整えられた。塔と尖塔は14世紀前半に増築され、その重みを支えるため後年さらに補強が加えられている。
建築的特徴
平面は二重の翼廊を備えた典型的なイギリス・ゴシックの構成をとり、東端は方形に閉じる。装飾を抑えた細身の尖頭アーチと、すらりとしたランセット窓の連続が、初期イングリッシュ・ゴシックの簡潔で垂直性の強い表情を生む。内部は黒く磨かれたパーベック大理石の細い柱で軽快に分節され、天井はリブ・ヴォールトで覆われる。窓に複雑なトレーサリーはまだ用いられず、線の純粋さが際立つ。後補の高い尖塔の側方推力は、フライング・バットレスや控え壁によって受け止められている。
意義・現在
ソールズベリー大聖堂は、短期の集中的な造営ゆえに様式の統一を保った稀有な作例として、初期イングリッシュ・ゴシックを語るうえで欠かせない。境内には1215年のマグナ・カルタの現存する4部のうち最も保存状態のよい1部が所蔵されることでも名高い。建物はイングランド第一級指定建築物(Grade I)に登録され、現在も日々の礼拝が営まれる現役の大聖堂として、また英国を代表する歴史的建造物として多くの参拝者・観光客を迎えている。