EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
聖アグネス聖堂
© NikonZ7II / CC BY-SA 4.0
FIG. 01 — Q1192577

ローマのナヴォーナ広場に面する17世紀のバロック教会。古代競技場跡の聖女アグネス殉教地に建ち、ライナルディ父子とボッロミーニが設計に関わった。凹面のファサードと中央ドームで知られ、広場の景観を決定づけたローマ・バロックの代表作である。

FIG. 02 — Location41.8988° N 12.4726° E
イタリア ラツィオ州 ローマ
§1 — 概要

概要

聖アグネス聖堂(サンタニェーゼ・イン・アゴーネ、Sant'Agnese in Agone)は、ローマの中心部ナヴォーナ広場に面して建つ17世紀のバロック教会である。古代ローマのドミティアヌス競技場跡に位置し、ここで殉教したとされる聖女アグネスに捧げられている。隣接するパンフィーリ家の邸館の礼拝堂として計画され、設計にはカルロ・ライナルディ父子とフランチェスコ・ボッロミーニという当代一流の建築家が関わった。凹面を描くファサードと中央のドームで知られる、ローマ・バロックの代表作のひとつである。

歴史

建設は1652年、教皇インノケンティウス10世の発意で始まった。広場に面するパンフィーリ家の宮殿パラッツォ・パンフィーリに隣接し、一族が宮殿からも礼拝に参加できるよう、ドームのドラム部に開口が設けられた。最初の設計は一族付きの建築家ジローラモ・ライナルディと子カルロ・ライナルディが手がけ、入口をナヴォーナ広場の側へ向け直した。しかし広場へ張り出す階段などへの批判から、1653年にボッロミーニが引き継ぎ、二塔のあいだを凹面でへこませたファサードを案出して、階段の突出を抑えた。ボッロミーニは1657年に退き、その後はふたたびカルロ・ライナルディらが工事を継いで、ドームと内部を完成させた。

建築的特徴

平面はギリシア十字を基本とする集中式で、中央に大きなクーポラを戴く。ボッロミーニによるファサードは、中央を奥へ引き込む凹面とし、その両脇に鐘塔を立てて垂直性を強調する。この凹面が、ドームと鐘塔を視覚的に押し上げ、広場から見上げたときの劇的な効果を生む。内部は色大理石と漆喰装飾、彫刻で豊かに飾られ、バロックらしい光と量塊の演出が施されている。隣のパラッツォ・パンフィーリと一体に構想された点も、都市のなかに置かれた一族の記念物としての性格をよく示す。

意義・現在

聖アグネス聖堂は、ボッロミーニとライナルディという気鋭の建築家が関与し、ナヴォーナ広場の景観を決定づけた建築として重要である。広場中央のベルニーニ作「四大河の噴水」と向かい合い、ローマ・バロックの都市空間を代表する一角を成す。現在も枢機卿助祭の名義教会であり、礼拝に用いられるとともに、ボッロミーニの聖具室ではバロック音楽などの演奏会が催されている。

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LAST EDIT — 2026.06.30
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