サン・タンドレア・デッレ・フラッテ教会 Sant'Andrea delle Fratte
ローマ中心部のバロック教会。フランチェスコ・ボッロミーニが手がけたドームと鐘塔で名高い。1604年に再建が始まり、複数の建築家の手を経て完成した。堂内にはベルニーニの天使像も置かれる。
§1 — 概要概要
サン・タンドレア・デッレ・フラッテ教会(Sant'Andrea delle Fratte)は、ローマの中心部、スペイン階段とトレヴィの泉のあいだに立つカトリック教会である。フランチェスコ・ボッロミーニが手がけたドームとカンパニーレで名高い、バロック建築の一作である。「フラッテ(茂み)の聖アンデレ」という名は、かつてこの地が市街と田園の境にあったことに由来する。
歴史
中世の小さな聖堂を起源とし、17世紀に大きく建て替えられた。新しい教会の建設は1604年、モデナ出身のガスパーレ・グエッラの設計で始まり、身廊と平面の骨格が定められた。資金難で工事が止まったのち、1653年にボッロミーニが引き継ぎ、後陣・ドームの胴部・鐘塔を手がけたが、1667年の彼の死により未完のまま残された。工事はマッティア・デ・ロッシに引き継がれ、1691年に堂は完成する。簡素な正面は、さらに後れて1826年、パスクアーレ・ベッリの手で整えられた。なお堂内には、もとサンタンジェロ橋のために作られたベルニーニの二体の天使像が置かれている。生前は名声を競い合ったボッロミーニとベルニーニが、この堂で隣り合うことになった。
建築的特徴
見どころは、ボッロミーニによるドームと鐘塔である。ドームを支える胴部は凹凸を組み合わせた曲面で構成され、頂部の小塔は、対角の控えが聖アンデレの×字形の十字架を思わせる。ドームは赤煉瓦のまま残され、本来これを覆うはずのスタッコの白い仕上げを欠いている。鐘塔は、円形と曲面を積み重ねた彫塑的な構成で、ボッロミーニの作風をよく示す。一方、堂内は単廊式で側廊に礼拝堂が並び、ボッロミーニのアプスが奥を締めくくる。このバロックの内部に対し、19世紀の正面は簡素な古典様式をとっており、両者の対比も本堂の見どころとなっている。
意義・現在
サン・タンドレア・デッレ・フラッテ教会は、二世紀以上にわたり複数の建築家の手を経て築かれた、ローマの重層的な歴史をよく映す建物である。なかでもボッロミーニのドームと鐘塔は、曲面と対比を駆使した彼の独創を端的に伝える作例として知られる。1842年にはこの教会で起きたとされる聖母の出現が一人の回心の場として記憶され、信仰の場としても親しまれてきた。現在も小バシリカとして、ローマの街なかにその姿を留めている。