サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会 Sant'Ivo alla Sapienza
ローマ、旧ローマ大学(サピエンツァ)の中庭奥に建つカトリック教会。フランチェスコ・ボッロミーニが1642年から手がけた、ローマ・バロックの傑作で、らせん状の尖塔(ランタン)で知られる。
§1 — 概要概要
サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会は、ローマ中心部、旧ローマ大学「ラ・サピエンツァ」の中庭の奥に建つカトリック教会である。法学者の守護聖人イヴ(イーヴォ)に捧げられ、フランチェスコ・ボッロミーニの設計になる。複雑な幾何学に貫かれた集中式の内部空間と、らせんを描いて天へ伸びる尖塔(ランタン)により、ローマ・バロック建築の傑作のひとつに数えられる。
歴史
この場所には14世紀から大学付属の礼拝堂があった。1632年、ボッロミーニはサピエンツァ大学の建築家に任じられ、大学施設の内側に建てる教会の設計に取りかかる。中庭はすでにジャコモ・デッラ・ポルタによって長い列柱廊と半円のエクセドラを備えた形に整えられており、ボッロミーニはこの既存の枠組みに合わせて教会を据えなければならなかった。建設は1642年から1660年にかけて進められ、教会は同年に献堂された。
建築的特徴
平面は中心式をとりながら、二つの三角形を重ねた六芒星に由来する複雑な集中式の幾何学を基礎とする。これは当時「ソロモンの星」として知恵の象徴と解された形であり、大学の教会にふさわしい主題であった。中庭側に向くファサードは凹面に湾曲し、教会を中庭の列柱廊の延長として連続させ、対立ではなく完結として広場に溶け込ませている。内部は三角形の各角を切り落とした形と半円とを交互に組み合わせた回転体をなし、鋭い稜線と曲面とが緊張のうちに調和する。頂部のランタンはらせん状に巻き上がり、その上に十字架を戴く。隣作のサン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネが諸形態を滑らかに融合させたのに対し、本作はそれぞれの形を明確に対峙させた点で対照をなす。
意義・現在
サンティーヴォは、ドームと平面の幾何学を極限まで突き詰めたボッロミーニの探求を象徴する建築であり、後世の建築家に幾何学的構成の可能性を示した。教会の機能は失われたが建物は保存され、現在は付属する複合施設とともにローマ国立公文書館が使用している。中庭から見上げるらせんの尖塔は、いまもローマの歴史地区の景観を特徴づけている。