ワシントン大聖堂 Washington National Cathedral
アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.に建つ聖公会の大聖堂。1907年に起工し、1990年に完成した20世紀のゴシック・リヴァイヴァル建築で、米国第二の規模を誇る。中世英国のゴシックを範とした本格的な石造聖堂である。
§1 — 概要概要
ワシントン大聖堂は、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.に建つ聖公会(米国聖公会)の大聖堂である。正式には「聖ペテロ聖パウロ大聖堂」と称する。米国内では二番目に大きな教会堂であり、丘の上にそびえる中央塔は首都でも有数の高さをもつ。14世紀英国のゴシックを忠実に範とした、20世紀のゴシック・リヴァイヴァルを代表する作品である。
歴史
1893年に連邦議会の認可を得て計画が始まり、1907年9月、セオドア・ルーズベルト大統領の臨席のもとで定礎式が行われ、起工した。当初の設計はイングランドの建築家ジョージ・フレデリック・ボドリーとヘンリー・ヴォーンが担い、1921年からはフィリップ・H・フローマンが主任建築家として全体をまとめた。建設は実に83年に及び、1990年9月、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の臨席のもと、最後の小尖塔が据えられて完成した。2011年の地震で被害を受け、修復が続けられている。
建築的特徴
中世の大聖堂建築の手法に忠実な、本格的な石造建築である。身廊の高い天井はリブ・ヴォールトで架けられ、その横推力は外周のフライング・バットレスが受け止める。開口部には尖頭アーチが用いられ、西正面の大きなバラ窓をはじめ、無数のステンドグラスが堂内に色光を導く。月の石を封じた窓など現代ならではの主題も織り込まれ、伝統的な技法と20世紀の感性とが共存している。
意義・現在
ワシントン大聖堂は、近代になって中世の建築技術を本格的に再現した稀有な事例である。特定の教派の枠を超えた国民的な祈りの場として位置づけられ、歴代大統領の国葬や追悼の式典がここで営まれてきた。米国国家歴史登録財に登録され、年間27万人を超える人々が訪れる。完成からなお間もないこの大聖堂は、過去の様式の再生が20世紀にも生きた建築たりうることを示している。