バロック
Baroque年代
1590 — 1750
地域
ヨーロッパ
時代
バロック・ロココ
バロック建築は、16世紀末のイタリアに始まり、17世紀から18世紀前半にかけてヨーロッパとその植民地に広がった様式である。ルネサンスが追求した静的な均衡と明晰な比例に対し、バロックは運動・劇性・感情の高揚を建築にもたらした。マニエリスムが孕んだ緊張を解き放つように、反宗教改革を進めるカトリック教会と、威信を競う絶対王政の宮廷が、人々の感覚に直接訴える壮麗な空間を求めたことが、その展開を後押しした。
形態の特徴は、楕円や曲線を多用した動的な平面、波打つように凹凸するファサード、量塊感のある柱やペディメントの重なりにある。内部では、天井画と建築を一体化させて天上へと開けるような錯視(だまし絵)が用いられ、隠した窓から差し込む光が劇的な明暗を生む。彫刻・絵画・建築が境界を越えて融合し、空間全体が一つの舞台装置のように構成される点に、この様式の核心がある。観る者を内部へ引き込み、圧倒する効果が周到に計算されている。
ローマのサン・ピエトロ大聖堂とその楕円形の広場(ベルニーニ)、複雑な曲面の壁で知られるボロミーニの教会群が初期の到達点であり、フランスではヴェルサイユ宮殿が軸線と庭園による権力の演出へと展開した。ドイツ・オーストリアやイベリア半島、さらに中南米の植民地でも、地域ごとに豊かな変奏が生まれた。18世紀には、より軽快で優美な室内装飾を志向するロココへと移り、一方で過剰な劇性への反動から、理性と古典回帰を掲げる新古典主義が次の時代を準備した。
§1
代表建築
Buildings§2