EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

マニエリスム建築

Mannerist architecture
年代
1520 — 1600
地域
イタリア(のちヨーロッパ各地)
時代
ルネサンス

マニエリスム建築(Mannerist architecture)は、16世紀のイタリアに興った後期ルネサンスの建築様式である。盛期ルネサンスが確立した古典の規範——オーダーの比例、左右対称、構成の明晰——を一度わがものとしたうえで、それをあえて崩し、緊張・逸脱・両義性をもちこむ点に特徴がある。「マニエラ(手法・様式)」という語に由来し、当初は洗練された様式を意味したが、のちに規範からの意図的なずらしを指すようになった。

形態のうえでは、構造の論理から切り離してオーダーやペディメントを扱うことが多い。円柱が壁にめり込む、持ち送りの上に重い柱が載る、窓が実際には開口しない盲窓(ニッチ)になる、ペディメントが割れて中央が開くといった操作によって、古典の語彙が本来の機能から引きはがされ、彫刻的・修辞的に再配置される。盛期ルネサンスの静的な調和に対し、見る者に違和感や運動感を喚起するのである。

この様式の出発点に位置づけられるのが、ミケランジェロによるフィレンツェのラウレンツィアーナ図書館前室と、ジュリオ・ロマーノのパラッツォ・テ(マントヴァ)である。ミケランジェロやジュリオ・ロマーノに始まり、ヴァザーリ、アンマナーティ、ブオンタレンティらが展開した造形感覚は、やがて運動と劇性を全面化するバロックへと受け継がれていく。様式史のうえでは、ルネサンスからバロックへの移行期として捉えられることが多い。

マニエリスム建築
§1

代表建築

Buildings
§2

様式の系譜

Lineage
親様式
ルネサンス建築
本様式
マニエリスム建築
隣接する様式