ノイエス・バウエン
ノイエス・バウエン(「新しい建築」の意)とは、第一次世界大戦後のドイツ語圏において展開した近代建築運動の総称であり、一九二〇年代のヴァイマル共和政期に最も活発な動きを見せた。歴史主義的な様式建築との断絶を宣言し、新しい時代にふさわしい合理的で即物的な建築を追求した点に運動の核心がある。様式の選択ではなく、素材と構造と用途に忠実であることを通じて、近代社会にふさわしい形を見いだそうとした。
バウハウスを率いたヴァルター・グロピウス、ミース・ファン・デル・ローエ、ブルーノ・タウト、エーリヒ・メンデルゾーンらがこの潮流を代表する。鉄・ガラス・鉄筋コンクリートといった工業材料を積極的に用い、平屋根、白い量塊、装飾を排した平滑な壁面を特徴とした。同時代の絵画や文学にも及んだ「新即物主義」(ノイエ・ザッハリヒカイト)と精神を共有し、感傷を排した明晰さと事物への誠実さを重んじている。
運動は単なる造形上の革新にとどまらず、住宅難の解消を目指す集合住宅(ジードルング)の建設など、社会改革的な志向を強く帯びていた点も見逃せない。標準化された住戸を合理的に配置し、日照や通風を確保した近代的な集合住宅は、この運動が生んだ大きな成果である。機能主義や国際様式と重なり合いながら近代建築の出発点を形づくり、ナチス政権の台頭とともに多くの担い手が亡命を余儀なくされると、その理念はかえって世界各地へと広がっていった。