EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

合理主義建築

rationalism
年代
1920 — 1945
地域
イタリア
時代
近代モダニズム

合理主義建築(ラツィオナリズモ)は、20世紀前半のイタリアを中心に展開した近代建築の一潮流である。装飾を排し、機能・構造・素材の論理から形態を導く姿勢においてモダニズムと軌を一にしながら、同時に古典建築の比例感覚や対称性、量塊の明快さを保とうとする点に独自の性格をもつ。1920年代末、ジュゼッペ・テラーニら若い建築家が結成した「7人会(グルッポ・セッテ)」を起点に理論化が進み、白い壁面、水平に連続する窓、軽快な鉄筋コンクリートの架構といった近代的な語彙が、地中海の光と古代ローマの記憶へと接続された。形態の面では、平滑な壁面と幾何学的な開口、列柱を抽象化した格子状のファサードが好まれ、構造を率直に見せながらも左右対称の落ち着いた構成へまとめられることが多い。代表作にはテラーニのカサ・デル・ファッショ(コモ、1936年)があり、ガラスと石による格子のうちに古典的な均衡を宿す。ファシズム期のイタリアでは、記念碑的で重厚なノヴェチェントや、より様式主義的な国家建築と競合・併存し、体制の表象をめぐって緊張をはらんだ。さらにイタリア領アフリカの植民都市にも輸出され、アスマラでは大モスクや各種の公共建築・映画館として、現地の気候や文化と折衷しながら独特の都市景観を生んだ。フランスやドイツの機能主義が装飾と歴史をより徹底して断ち切ったのに対し、合理主義は近代と古典の調停を試みた点に特質があり、国際様式のなかでも地域色の濃い系譜として、のちのイタリア近代建築へと受け継がれていった。

合理主義建築
§1

代表建築

Buildings
§2

様式の系譜

Lineage
親様式
モダニズム建築
本様式
合理主義建築
隣接する様式