555カリフォルニア・ストリート 555 California Street
サンフランシスコ金融街に建つ52階建ての超高層ビル。1969年、バンク・オブ・アメリカの世界本社「バンク・オブ・アメリカ・センター」として竣工し、ミシシッピ川以西で当時最も高い建物となった。赤茶色の花崗岩と無数の出窓に覆われた彫刻的な外観で知られる。
§1 — 概要概要
555カリフォルニア・ストリート(555 California Street)は、サンフランシスコの金融街に建つ52階建て・高さ237メートルの超高層ビルである。1969年に「バンク・オブ・アメリカ・センター」として竣工し、同行の世界本社が置かれた。竣工時はミシシッピ川以西で最も高い建物であり、その地位は1972年のトランスアメリカ・ピラミッド完成まで保たれた。赤茶色の花崗岩に覆われた量塊と、ファサードを埋め尽くす無数の出窓により、無機質なガラスの箱とは一線を画す彫刻的な高層建築として知られる。1998年の合併でバンク・オブ・アメリカが本社を移すと、建物は住所をそのまま名にとり、現在の名で呼ばれるようになった。
歴史
計画は1960年代半ば、戦後の成長を背景にバンク・オブ・アメリカが新たな本社を求めたことに始まる。設計のまとめ役は地元の建築事務所ウースター・バーナルディ・アンド・エモンズ(ウィリアム・ウースターらが率いる)が担ったが、同事務所は超高層の経験に乏しく、その分野の専門家であるスキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル(SOM)と組むことになった。さらに設計の途中から、ピエトロ・ベルスキがコンサルティング建築家として加わった。構造設計は、耐震構造の先駆者として知られるヘンリー・J・ブルーニアの事務所が担当している。着工は1967年、竣工は1969年。傾斜した敷地に四層の基壇を組み、その上に塔屋を載せる構成をとる。圧倒的な規模と暗い色調ゆえに当初の評判は芳しくなかったが、やがてサンフランシスコの摩天楼を代表する一棟と見なされるようになった。
建築的特徴
外観を決定づけるのは、赤茶色に磨かれたカーネリアン花崗岩の被覆である。荷重を負わないカーテンウォールの表面に石を張り、光を受けて鈍く輝く連続面をつくる。そこに刻まれるのが、面いっぱいに並ぶ角張った出窓(ベイウィンドウ)であり、住宅の出窓を多用してきたサンフランシスコの街並みへの応答とされる。設計に加わったベルスキは、出窓が陰になって「暗い穴」に見えることを嫌い、反射を生かすために濃色の磨き花崗岩を選んだという。各面は中央部の上層がセットバックし、四隅だけが52階まで切り立つことで、塔の垂直性と彫刻的な量感が際立つ。構造は溶接接合の鉄骨モーメントフレームで、地震の多い土地で水平力に抗するよう設計された。足もとには花崗岩敷きの広場が広がり、日本の彫刻家・流政之による黒御影石の作品《トランセンデンス》が据えられている。地元のコラムニストが「銀行家の心臓(バンカーズ・ハート)」と呼んだことで、この愛称が定着した。
意義・現在
555カリフォルニア・ストリートは、トランスアメリカ・ピラミッドと並んで、高層化へ向かう1960年代サンフランシスコの都心を象徴する建築である。両者が相次いで建った後、1970〜80年代には高層建設への反対運動が高まり、開発の重心はマーケット・ストリート以南へと移っていった。バンク・オブ・アメリカは1985年に建物を売却し、現在はヴォルナド・リアルティ・トラストとトランプ・オーガニゼーションが保有する。今日も金融街屈指のオフィスビルとして使われ続け、映画『ダーティハリー』や『タワーリング・インフェルノ』の舞台としても記憶されている。
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