新産業技術センター Center of New Industries and Technologies
パリ西郊ラ・デファンスに建つ展示施設。1958年完成。ニコラ・エスキヤンによる三点支持の薄肉コンクリート・シェル屋根は約218メートルの自由スパンを誇り、戦後フランスの構造技術を象徴する構造表現主義の代表作である。
§1 — 概要概要
新産業技術センター(フランス語: Centre des nouvelles industries et technologies、略称CNIT)は、パリ西郊オー=ド=セーヌ県ピュトーのラ・デファンス地区に建つ展示施設である。1958年に完成した、世界最大級の薄肉シェル構造による屋根をもつ建築として知られる。三点支持の平面に架かるコンクリート製の三枚の扇形シェルが、約218メートルの自由スパンを跨いで一つの巨大な内部空間を覆う。建設当時、この支点間距離は屋根構造として世界記録であった。
歴史
第二次世界大戦後のフランスは、産業復興の象徴となる大規模な展示施設を求めていた。計画はパリ西方の丘陵地ラ・デファンスの再開発と一体で進められ、設計は建築家ロベール・カムロ、ジャン・ド・マイー、ベルナール・ゼルフュスの三名が共同で担当した。屋根構造の設計は構造技師ニコラ・エスキヤンが手がけ、ガラスのファサードにはジャン・プルーヴェが関与した。1956年5月に最初のコンクリートが打設され、約27か月の工期を経て、1958年9月12日にシャルル・ド・ゴールの臨席のもとで落成した。当初は工業見本市の会場として用いられたが、その後ラ・デファンス地区の発展とともに用途を変え、1980年代後半に大規模な改修を受けて複合施設へと再生した。
建築的特徴
最大の特徴は、エスキヤンが設計した薄肉のコンクリート・シェル屋根である。三枚の扇形の殻が中央で接し、わずか三点の支点のみで自重と荷重を地面へ伝える。殻は頂部でごく薄く、二重殻の間にリブを通すことで剛性を確保しており、その応力の流れはしばしばゴシック建築の交差リブ・ヴォールトになぞらえられる。外周にはジャン・プルーヴェの関与したガラスのカーテンウォールがはめ込まれ、巨大な内部空間に自然光を導く。柱のない無柱空間は、見本市における自由な展示計画を可能にした。
意義・現在
CNITは、戦後フランスにおける構造技術の到達点を示す記念碑的建築であり、構造表現主義の代表作の一つに数えられる。その薄肉シェルは、以後の大スパン建築に大きな影響を与えた。現在はショッピングモール、ホテル、オフィス、会議場を内包する複合施設として運用され、ラ・デファンス地区の中核施設の一つとなっている。建築としての価値が認められ、フランスの歴史的記念物(monument historique)および「卓越した現代建築(Architecture contemporaine remarquable)」に指定されている。
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Related※ フランスには現存する現代建築に対するパノラマの自由が認められておらず、本建築(設計: ロベール・カムロ、ジャン・ド・マイー、ベルナール・ゼルフュス、1958年完成)の意匠には著作権が存続する。掲載写真は撮影者のライセンス(CC BY-SA 4.0)に基づくが、被写体である建築意匠の権利は別途存続する点に留意。