リュブリャナ大聖堂 Ljubljana Cathedral
スロベニアの首都リュブリャナに建つバロックの大聖堂。イエズス会の画家アンドレア・ポッツォの設計案にもとづき18世紀初頭に建てられ、ローマのイル・ジェズ教会を範とするラテン十字の堂内をジュリオ・クアリオの天井画が彩る。
§1 — 概要概要
リュブリャナ大聖堂(スロベニア語: Stolnica svetega Nikolaja、聖ニコラウス大聖堂)は、スロベニアの首都リュブリャナの旧市街に建つカトリックの大聖堂である。市の守護聖人である船乗りの聖ニコラウスに捧げられ、18世紀初頭にバロック様式で建てられた。設計案はローマで活躍したイエズス会の画家・建築家アンドレア・ポッツォ(Andrea Pozzo)にさかのぼり、堂内を覆う天井画とあいまって、スロベニアにおける盛期バロックの代表作となっている。
歴史
この地には13世紀以来の聖堂があった。13世紀半ばにはロマネスク様式の聖堂が記録され、1361年の火災ののちゴシック様式で再建された。やがて建物の老朽化が進み、17世紀末に全面的な建て替えが決まる。1700年頃、当時ローマで名声を博していたアンドレア・ポッツォが新堂の設計案を提供した。実際の工事はヴェネツィア出身の棟梁フランチェスコ・ボンバッシらが指揮し、ポッツォの案を現地で調整しながら1701年から1706年にかけて主要部を建て上げ、1707年に成聖された。中央のドームは当初、資金の都合から実際には架けられず、平らな天井に立体的なクーポラがそびえるかのように見せるだまし絵が描かれていた。現在の緑青色のドームが本物の構造として築かれたのは、1841年のことである。
建築的特徴
平面はラテン十字をなし、ローマのイエズス会総本山イル・ジェズ教会を範とする。広い一身廊の両脇に連なる礼拝室、交差部に載るドーム、正面に並ぶ双塔という構成は、信徒を一つの大空間にまとめて祭壇へと視線を導く、対抗宗教改革期の教会堂の典型である。内部はイタリアの画家ジュリオ・クアリオによるフレスコの天井画と、スタッコ装飾、色大理石によって華やかに飾られ、絵画と建築が一体となった劇的な空間をつくり出す。ファサードの双塔は1705年から翌年にかけて完成した。
意義・現在
リュブリャナ大聖堂は、イタリア・バロックの様式と職人がアルプスを越えてスロベニアにもたらされた経緯を物語る建築である。20世紀の建築家ヨジェ・プレチニックが整えた中央市場や橋に隣接し、旧市街の景観の核をなしている。1996年には、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の訪問に合わせて、スロベニアの歴史とリュブリャナ司教区の歩みを浮彫りにした青銅の扉が加えられ、近年の見どころとなっている。現在もリュブリャナ大司教区の司教座聖堂として礼拝に用いられている。