EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
パラッツォ・ルチェッライ
© Francesco Bini / CC BY-SA 4.0
FIG. 01 — Q923702

パラッツォ・ルチェッライ Palazzo Rucellai

フィレンツェのルネサンス期の都市邸宅。アルベルティが設計した正面は、重ね合わせたオーダーとピラスターによる初期ルネサンス建築の規範的作例である。

FIG. 02 — Location43.7713° N 11.2496° E
イタリア トスカーナ州 フィレンツェ
§1 — 概要

概要

パラッツォ・ルチェッライ(Palazzo Rucellai)は、イタリア中部フィレンツェのヴィーニャ・ヌオーヴァ通りに立つ十五世紀の都市邸宅(パラッツォ)である。富裕な商人ジョヴァンニ・ディ・パオロ・ルチェッライのために建てられ、その正面は古典の語彙を体系的に用いた初期ルネサンス建築の記念碑的作例として知られる。

歴史

多くの研究者は、この邸宅がレオン・バッティスタ・アルベルティの設計に基づき、1446年から1451年ごろにかけて建てられたと考えている。実際の施工は、少なくとも一部を彫刻家・建築家ベルナルド・ロッセリーノが担ったとされる。建物は既存の複数の家屋を統合して造られ、内部には中庭を備える。著名な正面は段階的に造られ、計画された幅の一部が未完のまま残された。

建築的特徴

正面は三層からなり、各層に異なるオーダーを重ねる構成をとる。これはローマのコロッセオに倣ったもので、最下層にトスカナ式、中層にルネサンス独自の意匠、最上層に簡略化したコリント式を配する。壁面は溝彫りのルスティカを施した石貼りとし、その上に平たいピラスターエンタブラチュアを格子状に走らせて各ベイを画する。上方の二層には半円アーチの二連窓を開き、全体を力強いコーニスが締めくくる。地階は商いに、二階のピアノ・ノービレは公式の応接に、その上は家族の私室にあてられた。

意義・現在

ルチェッライ邸の正面は、柱とエンタブラチュアを比例関係のもとに組み合わせるという新しい建築理念を、いち早く街路に向けて示した作例である。古代の復興を単なる模倣ではなくルネサンス的な独創として翻案した点に意義があり、後の都市邸宅の規範となった。建物は現存し、フィレンツェの歴史地区を彩る重要な遺構として今日に伝えられている。

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LAST EDIT — 2026.06.30
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