ノルウェーの首都オスロの中心に建つ王宮。スウェーデン・ノルウェー両国の王カール14世ヨハンの居所として、建築家ハンス・リンストーが設計し、1824年から1849年にかけて建てられた新古典主義の建物。現在もノルウェー国王の公邸である。
§1 — 概要概要
王宮(ノルウェー語でDet kongelige slott)は、ノルウェーの首都オスロの中心、目抜き通りカール・ヨハン通りの突き当たりの丘に建つ宮殿である。19世紀前半、スウェーデン・ノルウェー両国の王であったカール14世ヨハンの、ノルウェーにおける居所として建てられた。建築家ハンス・リンストーが設計し、1824年に着工、1849年に完成した。現在もノルウェー国王の公邸として使われている。
歴史
フランス出身でナポレオンの元帥でもあったカール14世ヨハンは、1818年に即位すると、同君連合下のノルウェー側にふさわしい王宮を求めた。1821年、首都クリスチャニア(現オスロ)に宮殿の建設が決まり、建築家としての実作経験に乏しいリンストーが設計を委ねられる。1824年に造成が始まり、翌1825年に礎石が据えられた。財政事情から計画はたびたび縮小と変更を迫られ、工事は四半世紀に及んだ。当初削られた中央の列柱や本来の屋根は、1849年の落成までに改めて整えられた。
建築的特徴
王宮は、左右対称の堂々たる新古典主義の建物である。黄色く塗られた壁面の中央に、大きな三角の破風を戴く柱廊玄関が張り出し、その柱はイオニア式をとる。壁面は付け柱で分節され、過度な装飾を排した端正な水平の構成が、丘の上に静かな威厳をたたえる。華やかな宮廷文化を誇示するよりも、節度と均衡を重んじる新古典主義の理念が、おさえられた予算のなかで実現された。
意義・現在
リンストーは生涯のほとんどをこの一作に捧げ、あわせて王宮から市街へ延びるカール・ヨハン通りの軸線を構想して、首都オスロの骨格を方向づけた。王宮は、新興の立憲君主国がみずからの中心を築こうとした記念碑であり、その意味で一個の建物以上の存在である。現在も国王の公邸であり、夏季には内部が一般に公開される。前面の広場では衛兵の交代が行われている。