サン・クリソゴーノ教会 San Crisogono
ローマ、トラステヴェレ地区のカトリック教会。古代の名義教会を起源とし、12世紀にロマネスク様式で再建され、17世紀にジョヴァンニ・バッティスタ・ソリアがバロックの正面と内部を整えた。地下に初期キリスト教の聖堂を残す。
§1 — 概要概要
サン・クリソゴーノ教会(Basilica di San Crisogono)は、ローマのテヴェレ川西岸、トラステヴェレ地区にあるカトリックのバシリカである。殉教者クリソゴーノに捧げられ、4世紀にさかのぼるローマ最古級の名義教会(ティトゥルス)を起源とする。現在の建物は12世紀にロマネスク様式で建て替えられ、17世紀にバロックの装いを与えられた、時代の層を重ねもつ聖堂である。
歴史
教会の起源は4世紀、ローマで最初期に置かれた名義教会の一つにさかのぼる。この古い聖堂は、現在の床面のおよそ5メートル下に埋もれ、1907年の発掘で姿を現した。1123年、枢機卿ジョヴァンニ・ダ・クレマが老朽化した旧聖堂の上部を取り払い、内部を土で埋めて、その上に新たなロマネスクの聖堂を築いた。鐘塔や身廊はこの時のものである。さらに17世紀、教皇パウルス5世の甥にあたる枢機卿スキピオーネ・ボルゲーゼの出資により、建築家ジョヴァンニ・バッティスタ・ソリアが正面と内部をバロック様式に改めた。グエルチーノの天井画を中心とする豪奢な格天井は、この改装による。
建築的特徴
聖堂は三廊式で、身廊を画す22本の花崗岩の円柱は、古代ローマの建物から運ばれたスポリアである。12世紀の煉瓦造のカンパニーレは、六層に小アーチを重ね、頂に錐形の尖塔を戴く、ローマでも古く高い鐘塔の一つである。床は、色大理石を組んだコスマーティ装飾で飾られる。後陣のアプスには、12〜13世紀のカヴァッリーニ派による聖母子と聖人たちのモザイクが輝く。一方、街路に面する正面は、四本の円柱を立てた玄関廊と三角破風をもつソリアのバロック建築で、ボルゲーゼ家の鷲が掲げられる。
意義・現在
サン・クリソゴーノ教会は、4世紀の名義教会から、ロマネスクの再建、バロックの改装へと、ローマのキリスト教建築が経てきた歩みを一身に映す聖堂である。とりわけ床下に保存された初期キリスト教聖堂の遺構は、8世紀以降の壁画を伝え、ローマの重層的な歴史をたどる貴重な現場となっている。現在もトラステヴェレの教区教会として、また小バシリカとして、人々の信仰を集めている。