© Gerd Eichmann / CC BY-SA 4.0
FIG. 01 — Q22720
ドイツ、ライン川沿いに立つ現存最大級のロマネスク聖堂。11世紀に神聖ローマ皇帝の墓所として築かれ、後に身廊が交差ヴォールトで覆われた。厚い壁と半円アーチによる、重厚な皇帝の大聖堂である。
§1 — 概要概要
シュパイアー大聖堂(Dom zu Speyer、正式にはマリアと聖シュテファンの大聖堂)は、ドイツ南西部、ライン川沿いの町シュパイアーに立つ。現存する最大級のロマネスク様式の聖堂であり、神聖ローマ皇帝の墓所として築かれた帝国の記念碑である。厚い壁体と半円アーチ、量感ある塔群が、ロマネスク建築の重厚さをよく示している。
歴史
建設は、ザリエル朝の初代皇帝コンラート2世のもと、1030年ごろに始まった。皇帝家の埋葬地とすべく壮大に計画され、1061年に献堂された(シュパイアーⅠ)。11世紀末、皇帝ハインリヒ4世はこれを大改築し、身廊に交差ヴォールトを架けて天井を高めた(シュパイアーⅡ、1106年ごろ完成)。歴代の皇帝・国王の墓所として、神聖ローマ帝国の権威を体現する聖堂となった。
建築的特徴
平面はバシリカ式で、東西に長い身廊の両端を塔と後陣がしめる。壁は厚く、窓は小さく、内部は半円アーチの連なりが生む薄暗い量感に満ちる。最大の見どころは、石造の交差ヴォールトで覆われた高い身廊である。木造の天井が一般的だった時代に、石で大空間を覆うこの試みは、のちのゴシックへ続く構造的探求の先駆けであった。地下には皇帝たちの墓所(クリプタ)が広がる。
意義・現在
シュパイアー大聖堂は、ロマネスク建築の規模と構造の到達点を示し、ライン地方の聖堂建築に大きな影響を与えた。度重なる戦災・改変を受けたが修復され、1981年に世界遺産に登録された。重い壁が支える静謐な内部は、垂直と光を求めたゴシックとはまったく異なる、もう一つの中世の美学を今に伝えている。
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