聖ニコラス・ローマ・カトリック教会(キーウ) St. Nicholas Roman Catholic Church, Kyiv
キーウに立つネオ・ゴシックのカトリック教会。1899年から1909年にかけて建築家ホロデツキらの手で建てられ、二本の尖塔と精緻な彫刻装飾で知られる。現在は教会とパイプオルガンの演奏会場を兼ねる。
§1 — 概要概要
ウクライナの首都キーウ、ヴェルィカ・ヴァスィルキフスカ通りに立つローマ・カトリック教会。市内で二番目に古いカトリック聖堂であり、二本の尖塔をもつネオ・ゴシック(ゴシック・リヴァイヴァル)建築の代表例として知られる。建物は現在、カトリック教会とウクライナ国立オルガン・室内楽ホールによって共用されている。
歴史
19世紀末、増加する市内のカトリック信徒のために第二の聖堂が求められ、1898年の設計競技で尖頭アーチを多用したゴシック式案が選ばれた。最終的な設計の練り直しと工事の監理は建築家ヴワディスワフ・ホロデツキが担い、彫刻家エリオ・サラが人造石による装飾を加えた。軟弱なキーウの地盤に対しては、当時新しかった杭基礎の工法が用いられた。建設は信徒の寄付のみで賄われ、1899年から1909年まで十年を要した。1909年に聖ニコラスの名で成聖されたが、内部の仕上げはなお続いた。ソ連時代の1938年に閉鎖されて倉庫や公文書館に転用され、1980年前後に修復されてオルガンの演奏会場となった。
建築的特徴
フランスのノートルダム大聖堂やウィーンのヴォティーフ教会を思わせる、左右対称の双塔形式をとる。垂直に伸びる尖塔、尖頭アーチの開口、バラ窓やステンドグラス、トレーサリーによる窓の繊細な分割など、中世ゴシックの語彙が忠実に再構成されている。壁体の高さと大きな開口を両立させるためにフライング・バットレスに通じる構造的な工夫が施され、外壁は細密な石の彫刻で覆われる。内部は高いリブ・ヴォールトの天井と祭壇装飾、そして大型のパイプオルガンが空間を引き締める。
意義・現在
聖ニコラス教会は、ポーランド系をはじめとするキーウの多文化的な共同体の記憶を刻む建物であり、世紀転換期の折衷的な建築文化を体現している。20世紀を通じて閉鎖と転用の歴史をたどったが、現在はミサと演奏会の双方に用いられ、街の音楽生活の拠点となっている。2021年には火災で被害を受け、修復のための募金が行われた。ウクライナの国家級建築記念物に指定されている。