トリニタ・デイ・モンティ教会 Trinità dei Monti
ローマのスペイン階段の頂に建つフランス国立教会。1502年にフランス王の援助で着工し、1585年に献堂された。左右一対の鐘楼をもつ双塔ファサードで知られ、内部にはダニエレ・ダ・ヴォルテラの傑作が伝わる。
§1 — 概要概要
ローマの中心部、スペイン広場を見下ろす丘の上に建つカトリック教会である。スペイン階段(トリニタ・デイ・モンティの階段)の頂に位置し、その立地ゆえにローマでも屈指の景観をなす。「スペイン教会」と誤解されることもあるが、実際にはフランスにゆかりの深い教会であり、現在もフランスの国立教会の一つとされる。
歴史
1494年、カラブリア出身の隠者パオラの聖フランチェスコのために、フランス王の支援で修道院が設けられた。1502年、フランス王ルイ12世がナポリ遠征の戦勝を記念して、修道院に隣接する教会の建設を始める。工事は当初、フランス風の尖頭アーチを用いた後期ゴシックで起こされたが、進捗は滞った。やがてイタリア・ルネサンス風の教会へと姿を変え、最終的に1585年、教皇シクストゥス5世によって献堂された。シクストゥス5世はこの教会と市内を結ぶ街路ヴィア・システィナを開き、ローマ改造の要の一つに据えた。
建築的特徴
外観でもっとも目を引くのは、左右対称に立つ二基の鐘楼を備えたファサードである。1584年ごろに完成したこの正面は、ミケランジェロに連なる建築家ジャコモ・デッラ・ポルタの構想によるとされ、施工には若きカルロ・マデルノが、またアンニーバレ・リッピが関与したと伝わるが、設計の主体には諸説がある。各鐘楼にはコリント式のピラスターが配され、中央のやや後退した壁面と一体のコーニスで結ばれて、簡素ながらまとまりのある構成をみせる。教会前へ下る二股の大階段は、ドメニコ・フォンターナの手になる。
意義・現在
建築としては華美を競うローマの諸聖堂のなかでむしろ控えめだが、丘上の立地と双塔の輪郭が、スペイン広場の象徴的な風景をかたちづくっている。内部の礼拝堂には、ミケランジェロの弟子ダニエレ・ダ・ヴォルテラによる《キリストの降架》など、マニエリスムの傑作が伝わる。教会の建つローマ歴史地区は、ユネスコ世界遺産に登録されている。