ユニテ・ダビタシオン Unité d'Habitation de Marseille
ル・コルビュジエがマルセイユに実現した巨大集合住宅。1947-52年建設。住戸・商店・屋上施設を一棟に束ねる「垂直の都市」を打放しコンクリートで示し、戦後建築の原点となった。
§1 — 概要概要
ユニテ・ダビタシオン(Unité d'habitation de Marseille、通称シテ・ラディウーズ)は、ル・コルビュジエがマルセイユに実現した集合住宅である。1947年から1952年にかけて建設された。住居だけでなく商店街や屋上の共用施設までを一棟に束ねる「住むための単位(ユニテ)」の構想を初めて完全なかたちで示し、戦後の集合住宅とブルータリズムの双方の原点となった。
歴史
第二次大戦後の深刻な住宅難を背景に、フランス復興都市計画省の委嘱で計画された。1947年に定礎、1952年に竣工した。当初は工費と前衛的な形態への批判が強く、地元では「フォウの家(La Maison du fada=変わり者の家)」と揶揄されたが、やがて愛着を込めた通称となった。同型のユニテはその後ナントやベルリンなど各地にも建設された。マルセイユの本作は歴史的記念物に指定され、2016年には「ル・コルビュジエの建築作品」の構成資産として世界遺産に登録された。
建築的特徴
巨大な板状の棟がピロティで大地から持ち上げられ、地上は開放される。住戸は2層のメゾネットを基本とし、中間階に「商店街」を挟み、屋上庭園には保育施設や運動場、彫塑的な排気塔が並ぶ——一棟のなかに都市の断面を畳み込む構成である。ファサードの深いブリーズ・ソレイユは日射を制御すると同時に、彩色された奥面が立面にリズムを与える。仕上げは型枠の木目を残す打放しコンクリートであり、その荒々しい質感(béton brut)が後のブルータリズムの語源となった。寸法体系には人体寸法に基づく独自のモデュロールが用いられている。
意義・現在
ユニテは、住宅を「機械」から「共同体の器」へと拡張したコルビュジエ後期の転回点であり、世界中の団地・集合住宅計画に影響を与えた。その理念の単純化された模倣が各地で失敗と批判を生んだことも含め、20世紀住宅史の中心にある建物である。現在も住民が暮らし、屋上や共用部の一部は見学者に開かれている。
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Related※ フランスにはパノラマの自由の規定がなく、ル・コルビュジエ作品は著作権保護期間中。掲載画像は米国政府作成のパブリックドメイン写真を使用。