フランスのゴシック建築
初期ゴシック建築(Early Gothic architecture)は、12世紀のフランスに生まれた、ゴシック建築の最初の段階を指す。1140年頃、パリ近郊のサン・ドニ修道院の改築において、尖頭アーチ・リブ・ヴォールト・飛梁という三つの要素が一つに結ばれ、ここにゴシックの様式が産声をあげた。
ロマネスクの重い壁と薄暗い内部に代わって、初期ゴシックは、高く立ち上がる空間と、壁に穿たれた大きな窓を志向した。リブ・ヴォールトが天井の荷重を柱へと集め、外に控える飛梁がその横圧を受けとめることで、壁は構造の重荷から解き放たれ、ステンドグラスのための広い面が生まれた。この時期の交差穹窿はしばしば六つに分割され(六分ヴォールト)、構造はなお手探りのうちに磨かれていった。内部は、アーケード・トリビューン・トリフォリウム・高窓からなる四層の立面として構成されることが多い。
サンスやラン、そして1163年に着工したノートルダム大聖堂の内陣と身廊は、この初期ゴシックを代表する作例である。やがて様式はいっそう洗練され、構造と光をきわめる盛期ゴシックへと展開していった。ゴシックがフランスから西欧全体へと広がっていく、その出発点であった。