EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

ブラバント・ゴシック様式

Brabantine Gothic
年代
1350 — 1550
地域
ブラバント公国(低地諸国)
時代
中世

ブラバント・ゴシック(Brabantine Gothic)は、15世紀のブラバント公国(現在のベルギーを中心とする低地諸国)で展開した後期ゴシックの地域様式である。フランス・ゴシックの構造を受け継ぎながら、教会堂のみならず市庁舎・ギルドホール・鐘楼といった都市の世俗建築に、教会堂に比肩する規模と豊かな装飾を与えた点に最大の特色がある。ブリュッセル・ルーヴェン・アントウェルペン・メヘレンなど、毛織物などの商業で栄えたブラバントの諸都市がその舞台となった。富裕な市民層の台頭と都市自治の高まりを背景に、市庁舎建築が大聖堂と張り合う芸術的達成を遂げたのである。建造を担ったのは、ケルデルマンス一族に代表される世襲の親方棟梁(マスター・メイソン)たちで、地元産の砂岩や白色石灰岩を緻密に刻み、彫刻装飾の精緻さを競い合った。

形態の上では、尖頭アーチによる垂直性、壁面を覆い尽くす緻密なトレーサリーと小尖塔、聖人・貴族・寓意像を収める無数の天蓋付き壁龕(タベルナクル)、透かし彫りの開放的な尖塔などが特徴となる。ファサードは構造から半ば独立した「装飾のスクリーン」として扱われ、彫刻的な濃密さが際立つ。代表作にブリュッセル市庁舎、ルーヴェン市庁舎、アントウェルペン大聖堂の塔があげられる。フランス・ゴシックおよびフランボワイヤン(火炎式)の影響下に成立し、低地諸国の世俗建築の伝統として、のちのルネサンス・バロックの市民建築へと受け継がれた。

ブラバント・ゴシック様式
§1

代表建築

Buildings
§2

様式の系譜

Lineage
親様式
ゴシック建築
本様式
ブラバント・ゴシック様式
隣接する様式