EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

イサベル様式

Isabelline Gothic
年代
1474 — 1530
地域
スペイン(カスティーリャ)
時代
ルネサンス

イサベル様式(スペイン語: Gótico isabelino)は、15世紀後半から16世紀初頭のカスティーリャ王国で展開した後期ゴシックの一様式である。名は、レコンキスタを完遂したカトリック両王の一方、カスティーリャ女王イサベル1世に由来し、その治世(1474–1504)に宮廷の威信を可視化する建築言語として成熟した。構造的にはフランボワイヤン・ゴシックのリブ・ヴォールト尖頭アーチを受け継ぐが、この様式の固有性は装飾の密度と性格にある。ファサードや内陣の障壁を覆う繊細な石彫には、ムデハル(イスラーム系職人)の幾何学文様、フランドル由来の細密な植物文、そして王家の紋章・軛(くびき)と矢の標章・ザクロといった政治的図像が一面に織り込まれる。外観では、紋章を支える獅子や小天使、透かし彫りの欄干と林立する小尖塔(ピナクル)が、壁面を彫刻的に覆い尽くす。室内には、ムデハルの伝統を引く木組みの格天井(アルテソナード)がゴシックの石造と併存することも多く、キリスト教とイスラームの工芸が一つの空間に同居する。構造はゴシックのまま、装飾に新旧・東西の要素を混在させる点で、スペインに固有の折衷性を体現している。代表作として、バリャドリッドのサン・パブロ聖堂やサン・グレゴリオ学院のファサード、トレドのサン・フアン・デ・ロス・レイエス修道院、そしてグラナダ王室礼拝堂が挙げられる。中世ゴシックからルネサンスへの移行期に位置し、続くプラテレスコ様式へと、過密な装飾の系譜を引き渡した。

イサベル様式
§1

代表建築

Buildings
§2

様式の系譜

Lineage
親様式
ゴシック建築
本様式
イサベル様式
隣接する様式