パフラヴィー建築
パフラヴィー建築は、パフラヴィー朝期(1925–1979)のイランで展開した建築の総称である。レザー・シャーによる近代国家建設と文化的ナショナリズムを背景に、西洋由来の近代的な構造・計画手法と、ペルシアの歴史的様式の参照とを結びつけた点に特徴がある。初期にはアケメネス朝やサーサーン朝の古代様式を引用した記念碑的な公共建築が現れ、官庁・博物館・駅舎などに、過去の栄光を新国家の正統性へ重ねる意図が託された。アンドレ・ゴダール設計のイラン国立博物館は、サーサーン朝のアーチを引いた代表作である。一方で、ザンド朝やサファヴィー朝の伝統様式に倣う復古的な記念建築も建てられ、同じくゴダールによるハーフェズ廟はその系譜に連なる。1940年代以降はモダニズムが本格的に導入され、コンクリートやガラスによる国際様式と、なおイラン的な意匠とを融合させる試みが続いた。古代様式の引用から近代主義まで、伝統と近代のあいだで揺れ動いた20世紀イラン建築の多様な実践を包含する概念であり、親様式をペルシア建築に持つ。